架空人物命名システム(ヨーロッパ編)
■バルカン・クレタ島・エヴィア島・キプロス島
B型
アレクラ アレケ アンドレ イルケ カヤン カラ クンドゥ
サヴァイ ストゥル ディミ ドラグ ニコラ バンガ ミロ
ラ ラドゥ レシ レーニ ヴォイラ ヴラ
+
アシュ イエ イオス イネス ギオス ゴシュ シアム
ーシュ ダート ッツァ ッティ ティフ ドル ニコス
ファノ フニャ ミール ラヴ ヴィラ ヴド
上の四地域の命名システムは、B型。ゲーム上での「バルカン」地域は北はハンガリーから、南はギリシャまでを領域とし、マップ上のライン川とドナウ川と思しき二つの大河の位置からして、東はブルガリアから西はオーストリアに至る。オーストリアは文化面や神聖ローマ帝国との関係から東欧圏の「バルカン」よりも「ドイツ」にした方がいいのだろうが、ハンガリーのペストと位置が競合するからウィーン等のオーストリアの都市が出せない都合による処置だと思われる。しかし、歴史的に有名なウィーンを出せないが為にジェノヴァに「左遷」されたオーストリア公オタカルと息子のヴァーツラフの存在を考えると、次回作も箱庭マップを使うのなら縮尺をもっと大きくして欲しいという意見が多いのも頷ける。オタカル父子についてはハンガリーの武将として設定しておけば済む、とも思えるが。
東欧は日本ではあまり馴染みの無い所なので登場する架空武将の名前が多少適当でも文句は出ないのだろうが、少しでも東欧史に触れてみると、これがギリシャやハンガリー、ルーマニア等のの人名の要素を混ぜこぜにして出来ていることがわかる。これでも前作に比べれば大きな進歩なのだが、ギリシャ人の帝国たるビザンツ帝国の皇帝が「クンドゥッツァ」だの「ラドゥゴシュ」だのとギリシャ人らしからぬ名前をもつ人物に代替わりすると、やはり落ち着かない。現行の「バルカン」地域に、もう少し区切りを増やすことが望まれる。
また、このゲームではキプロス島は東欧圏扱いで、命名システムは「バルカン」地域と同種になっている。現在でもギリシア系住民が多いことを考えると別に不思議でもなんでもないのだが、ゲーム上で「〜〜島」とされる地域の命名システムが対岸の主要地域のものと同種になることが多い(例:「海南島」→「華南」、「アイルランド島」→「イギリス」)ことを考えると、結構稀なケースに思える。
かと思っていたら、エヴィア島の武将の顔グラフィックってイタリア系……。深い意味はあるのだろうか……。
■西ルーシ・東ルーシ
B型
アヴェ イヴァ エ オ カ カウス カスタ
ガスト キ ギョヴ クレ ゴ サマ サヴォ
シチェ シダ タガ ナ ニド マ ミ
ミュ ユ ヴィセ ヴォ
+
イエル チエフ チコフ ツォ ニエフ ーノフ ノフスキー
ノルフ ラート リコ リッツォ リンスキー リンツァ ルガ
ルコフ ルスキー ルチン ルノフ レスク ロロフ ンスキー
ヴァール ヴィッチ ーヴェ ヴェリアン
ルーシ地域(現在のロシア)の命名システムは、これだけ見ると極めてまともなB型だ。
このゲームではむしろ、「ルーシ」という言葉の指す領域が問題のように思える。何せ、西はカトリック圏のポーランド、東はウラル山脈までにわたり、「ルーシ」=「ロシア」というには無理があるし、「ルーシ」=「当時のスラブ民族の居住範囲」と考えるにも東に広がり過ぎいているきらいがある。当時、黒海沿岸部にはクマン族(前作には登場した)、ウラルにはブルガル族という遊牧民が居住していたはずなのに、それらの存在は今回無視されてしまったようだ。
■スカンジナヴィア・シェラン島
B'型
エリク= オレリ= カール= クリス= テオ= デクス= ハンス=
ヘラン= ヤコブ= ヤン= ヨナス= ヨハン= ルディ= ルーク=
+
ウルフ オルリク オルロフ キリング シュル バーンズ ハンセン ハンソン ビョソン ピルソン
ブロリン フロレル ホルム ヨステン ヨースト ルドビク ヴァンス ヴィヨン ヴォルグ
C型
アクセル アルフ アンダース イェルマン ウィスボルグ オスカル
カティオリ カルル グスタフ グットルム クリスティアン クリストフェル
スヴェン トマソン ニルス ネイサン ハーラル フレイ
マウリッツ マグヌス ヤコブセン ヤルマリ ヤン ヤンソン
ユミル ヨハネ ヨルグ レヴィン ロアルド ワイダル
西欧の各地域ではほぼ、B型・B'型とC型の並立が見られる。もっともそれは対等なものでなく、C型は君主が子供を名付ける時のみ用いられる。B型・B'型は主に一般武将の命名に用いられ、C型の名前が使い尽くされてしまった場合のみ君主が子供を名付ける時の名前候補にも現れる。
上の三地域ではB'型とC型の並立が見られる。ただ、「〜ソン」「〜セン」という名前は「〜の息子」と言う意味だから、「スヴェレ」や「ホーコン4世」といったノルウェー国王の架空の息子が「ヤンソン」とか「ヤコブセン」と名乗っているのはちょっとおかしな気もする。
なお、C型の名前候補が尽きるとどうなるかというと、B型で王子の名前が命名されるようになるようだ。
■イギリス・アイルランド島
B'型
アイク= アレク= オズ= カーク= ザック= サム= ジェフ= ジョン= ジーン= ダグ=
トッド= トマス= ネス= バート= バック= ビリー= ビル= フィル= ベン= ポール=
ライル= リック= ルイス= ロブ=
+
イーデン ウィン オッカム グリーン ゲート スミス パーカー ビット ブラック ブルック
ホワイト ポンド ミード モートン ヤング ライト リーガル リトル リドリ ロード
ロブソン ロレンス ロング ワッツ
C型
アンソニー アンドルー ウィリアム ウィンストン エイドリアン エドガー エドモンド エドワード
キース ギルバート グレアム サムソン ジェームズ ジョージ ジョナサン スティーブ
ダグラス ダニエル デビッド トーマス ハロルド ハワード ピーター フレデリク
ヘンリー ポール ラルフ ランドール レイモンド ロジャー ロバート ロビン
ワトソン ヴィヴィアン
ここでも、B'型とC型の並立が見られる。これを見るに、どうやらこのゲーム上にケルト民族は存在していないようだ。政治的意図というよりは、「イギリス」で単純にイングランドもスコットランドもウェールズも一括りにしてしまったからだと思われる(だから、何かと不評な「ウィリアム=ウォレスがイギリスの君主になる」という現象もさほど不可解ではない。スコットランドが「イギリス」の中で優位に立った、と脳内補完できるからだ)。
「C型の命名パターンが存在する」という時点で文句をつけるのも贅沢なのかも知れないが、敢えて言うと、名前候補が中世の王族にしては「現代的」ではなかろうか。当時は、聖書に現れる人名や祖先の名前にちなんで命名を行っていたので、名前の選択肢はまだまだ少なかった。イングランドの国王が「ヘンリー」「ウィリアム」という王家に伝統的な名前を息子の一人にしか贈れない、という現象はそういう当時の感覚からずれている気がする。プレイヤーが名付ける分には、名前の後に「○○公」「○世」と付ければいいのだが、アジアからはるばる攻め上ってきてふと気付くとロンドンに居座っているのが「イギリス国王ジョナサン」でプレイヤーがずっこける、ということもしばしば起きる。雰囲気の問題だと片付けることも出来るが、その当時の雰囲気をゲームの中でも大事にして欲しいという気持ちもあるので、次回作では何らかの処置を求めたい。
ところで、B型のいわゆる一般武将用の名前のファーストネームが短縮形ばかりだということにお気付きだろうか。「名前に使えるのが漢字・全角英数・全角かなカナ合わせて八文字まで」というゲームシステム上の制約から、姓と名を無理に八文字に収めようとして全体として寸詰まりな名前になる傾向があるようだ。裏を返せば、使用できる字数を増やせば一般武将の名乗りを伸ばすことが出来るということだ。このことについては、改良案の項で詳しく述べたい。
■ドイツ・ゴトランド島
B型
カウル ゴット ゴルティ ジーク シュタイン シュバルツ
ジュール ディーン ハンス ヒル ヒルデ ヒルデス
フィッシュ フォイエル フォルフ ブラウ ベルン ライネル
ランス リッツェン リーデ リーベ ローデン ヴィル
+
カフス グラフ ザマー ダイン ツィヒ ハイツ バイン
バック バッハ バルト ブラム ベック ベルク ヘルム
ホフト マルク ムート ムント ライヒ ラフト リング
ルフト ワイス ワルツ ヴィヒ
C型
アドルフ アルフレート アルブレヒト ウィルヘルム ウォルフ エーリク エーリヒ
エルンスト オスカー カール クラウス グレゴール クヴァンツ ゲオルグ
ゴットリープ コンスタンチン ジギスムント ジークムント ジョルジュ テオドール ハインリッヒ
フランツ プリンツ ヘルマン マクシミリアン マティアス マルティン ミカエル
ヤコブ ヨアヒム ヨーゼフ ヨハン ライムント リヒャルト レオポルド
ドイツの命名システムは、西欧では例外的なB型。
欠点ではないにしろ、B型の特徴として「生成された名前が『姓』なのか『名』なのか判然としない」という点が挙げられる。ここでも、「シュタインバッハ」のように実在する姓が登場するかと思いきや、「ジークムント」のようにファーストネーム然とした名前が現れるのだ。近代まで姓を名乗る習慣の無かったモンゴルや東南アジア等のA型地域ならさほど気にならないのだが、貴族や騎士は出身地や所領を表す意味での姓を持っていた西欧世界では、何らかの形で『姓』と『名』を区別する必要があるのではないだろうか。西欧の他地域に見られるB'型の命名法はその問題に関する一つの回答とも言えるが、一方で名前の字数制限の問題もある。現実的な改善策としては、「制限字数を増やす」か「命名システムを『姓』と『名』の2系統に増やす」かの二つが考えられるだろう。
ところで、ゴトランド島は対岸の「スカンジナヴィア」とも「西ルーシ」とも異なり、「ドイツ」と同系統の名前を持ち、かつ顔グラフィックは「イベリア」地域と同じになる。更に、謎……。
■フランス・サルジニア島・コルシカ島
B'型
アラン= アンリ= イザク= イラ= エーメ= エリフ= ギ=ド= ゲラン= サン= シモン=
ジャン= ジル= デュオ= トロワ= ニコラ= ピウス= ペリエ= マクス= ミロン= モリス=
リオ= ル= レミ= レーリ= ヴィル=
+
エスカレ オーギュ ガルニエ ギドリ ギーネ コンテ サブレ ジラーク ジール ダミア
デ=サン デスタソ デプゥイ デュフィ パイヤン バール ピーアフ ピオ ブーリエ ベーヌ
ペリエ ポッティ マーニュ マルシェ ミシェル レヴィル ロゼ ローラン ヴィヤレ ヴュー
C型
アドリアン アルテュール アルノー アルベール アンリ エミール オーギュスト カミーユ
クロード コンスタンス ジェフリア ジェフロア ジャン ジュオー ジュスティン ジュリアン
ジョリオ ジルベール セザール フェリクス フランソワ フランシス ベルナール ミロン
ユベール ユリイーズ ユリウス リオン ローレンス ヴィンセント
サルジニア出身の武将は名前こそフランス風だが、顔グラフィックはイタリアと同じになる。
なお、PC版ではコルシカ島の全域が密林に覆われていて新都市を建設できない為、名前の系統は不明だ。これを調べるには、イスラム商人や吟遊詩人がコルシカ出身の武将を連れてくるのを辛抱強く待つしかない、と思われた。しかし、PS版では新都市が建設可能で、コルシカ島出身武将の登用が容易になっている。この場合、コルシカ出身の武将は上のサルジニア出身武将と同様の仕様と判明した。恐らく、PC版でもデータ上は同じ設定と予想される。
■イタリア・シチリア島
B型
エン キリ グリ コル コン タ トレヴィ
パルテ ピエ プリ マリ モン レン ヴィ
+
ウリ コーニャ コール タリオ タリーニ ダン ツィオ ディアノ
トヴァ ニーコ フィスコ リアーノ リエール リマーニ ヴィザン
B'型
アギレ= アルド= ウーゴ= エーレ= オルソ= ガエ= カルロ= ジェニ= ジオ= チッコ=
トマソ= トリオ= トレ= ニコロ= パオロ= バンコ= フリオ= マリオ= マリノ= マルコ=
ミカ= ヤコボ= レオン= ヴィト=
+
カッチョ コジモ サリーニ サロ トッリ ナポリ パピーニ ピエッタ ビューレ ファロ
フィアナ ペドロ ボスコ ボッシ ボッタロ ポッツォ ボトーニ ボルジエ ミカエロ ミラ
リオ リーナ ロッシ ヴィート ヴィーノ
C型
アルトゥーロ アレッサンドロ アントニオ アンドレア エマヌエーレ エリオ カステラーノ
カルミーネ カルロ カロジェロ キリコ グイード グリエルモ グレゴリオ
サルヴァトーレ ジェナーロ ジェラルド ジェンコ ジャコボ ジャコモ ジャコーモ
ジュゼッペ ジョバンニ シルヴィオ セフィーノ チェザリオ チェザーレ パウロ
バジーリオ バティスト ピエサンティ ピエトロ ファブロ フランチェスコ ブルーノ
ベネデット ベルナルド ボニファーツィオ マウリシオ マルコ ミケーレ ラファエーレ
レオナルド レオーネ ロザリオ ロレンツォ ヴィオラ ヴィオール ヴィクトリオ
ヴィットーリオ
■イベリア・マリョルカ島
B'型(系統1)
サンス= セサル= ダリオ= ドン= パブロ= ピサロ=
ペドロ= ホセ= マシア= マテオ= ミゲル=
+
アルティ ゲレロ コロジモ サンタナ サンチェ サンデ シュリア
シローネ ハコボ フランコ フリアン マティア ルドビコ
B'型(系統2)
エンリコ= カルロス= ジョゼフ= ジロラモ= ドノバン= トマソン=
ビセンテ= フェリペ= フランコ= フリアン= ロドリゴ= ロベルト=
+
アノー ギース キーン コロン ヌーボ ネロ
パトフ ビスケ ポルト リノ レオン ヴァリ
C型
アウグスティン アメデオ アフォンソ エンリケ エステバン エルナンド カストラート
ガスパル ガスパーレ カミロ ガルシア ギリュリモ クリストファ サルヴェ
ジョアン セサル セバスチャン ディエゴ ドメニコ フェリペ フェルナンド
フレデリコ ホルヘス マテオ マヌエル ミゲル リカルド ルイス
ヴァスコ ヴィクトル
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