歴史SLGにおける架空人物について
歴史シュミレーションゲーム(以下、歴史SLG)をプレイするという事は、言って見れば架空の歴史を体験する事だ。『信長の野望』のように戦国大名の一人となって全国統一を目指したりするのは、まさにそれだろう。実際の歴史を題材としなくてもSLGの体裁をとるゲームは、おおよそ『正史』から外れたいわば『もう一つの歴史』をプレーヤーが生み出せるようになっているようだ。
さて、SLG上の駒として欠かせないのが君主(ゲームによっては戦国大名だったり、中国の群雄だったりする)とその部下となる武将(ゲームによっては戦国武将だったり、軍隊の指揮官だったりする)の存在だ。ゲームによっては君主しか登場しなかったり、君主すら登場せず国力によってのみ戦力が決定されるものもあるが、和製SLGの大半は上記の通りと言っていいだろう。
部下となる武将の数というのは、ゲームバランスに直結してくる。往々にして、武将数は一回のターンで下せるコマンドの数や所属勢力が率いる兵力に反映されるので、一般に武将数が少ない勢力ほどゲームの難易度が高くなるのだ。
実際の歴史を題材としないSLGならば、ゲームバランスを考慮して武将数を設定すれば、いくらでもゲームの難易度はコントロールできる。しかし、実際の歴史を取り扱ったSLGでは、そうもいかない。題材とする時代に実在した人物(以降、「史実武将」と呼ぶ)だけで十分な数の家臣が用意できるならそれに越した事は無いのだが、史実で後継者や部下に恵まれなかった大名や国王はただそれだけの点で不利になってしまうのだ。そもそも、題材とする時代についての史料が少なかったり入手困難だったりする場合には、史実武将の絶対数には限りがある。また、残された史料の多寡で地域ごとに武将数の偏りが出来てしまう事も十分考えられる。武将が限られた勢力に集中していると、それだけで武将数の少ない勢力は不利になって、最悪クリアできない事も考えられる。
そこで、コンピューターが自動生成した架空の人物(以降、「架空武将」と呼ぶ)が必要になる。人材の足りない勢力に架空武将を補充する事で、史料の少なさや偏りによる人材不足が克服できるのだ。
当サイトでは、こうした架空武将について主に考察している。そうした武将がどういった名前で登場し、そしてどのように扱われているかを考えていきたいと思う。
awakの『蒼き狼と白き牝鹿』資料室に戻る